No rain, No rainbow-ナナイロのシアワセ-
…と、バスルームのドアを内側から開けた律さんと目が合った。

「はぁーっ。良かった。詩さんだ…」

つぶやくと同時に…

「…え!…ちょ…ッ…?!りつ…さん、ッ…?!」

悲鳴に近い声が漏れたのは、下半身にバスタオルを巻きつけただけの格好の律さんに、唐突に抱きしめられたから。

そのまま、バスルームの中に引き込まれる。

水滴だらけのぬくい体温。

私の体をかまわず抱きしめる、優しく強い腕。

もつれて重なり合って、ちいさなバスルームの床に座り込んだ。

緩く流れ続けるシャワーの湯気にふたり、包まれて。




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