No rain, No rainbow-ナナイロのシアワセ-
まだ夕陽が残っていた空間だったのに、気がつけばすっかり陽がおちている。

こんな暗闇のなかでも光っているのは、お揃いのリングで。

ひときわ光る緑色が私と律さんを繋いでくれている。

「シアワセ、ですねぇ」

隣で律さんが、ぽつりとつぶやいた。

その声の優しさに、泣きそうになる。

無条件で好きなひとから与えれる、シアワセや、優しさ。

それをずっと横目で睨んで、欲していた。

どうすれば、あのコみたいに、大切にされるんだろう?

卑屈になっていたココロや、

「私なんて」

は、もう、ない。



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