雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
神崎さん・・・
「朝比奈!」
その声がする方を見ると、神崎さんが駆け寄って来ていた。
私は急いでその場を離れると、神崎さんは車に気づいたのか、私の手を引いて歩き出した。
「お前って、ほんと危なっかしいなぁ・・・」
「あの・・・ありがとうございました」
「朝比奈に何かあったら、俺の責任だからな」
「すみません・・・」
「もういいよ、何もなくて良かった。お前は出張中、1人で外出禁止な」
「でも・・・欲しいものもありますし、もう今日みたいなこと無いようにしますから」
私は神崎さんの目を見て、懇願したけど
「そんな目をしてもダメだ。買いたい物ある時は、俺と一緒にいる時に言えよ。わかったな」
「はい・・・」
神崎さんが心配してくれたのは、よく分かった。
そして、言葉は乱暴だけど、繋がれた手は、とても温かかった。

次の日は午前中、既存顧客と新規案件先とを回った後、帰りの新幹線に乗った。
初めての出張は、色々あったけど、何とか無事に終わりそうだ。
「昨日は朝比奈のせいで寝るの遅くなったんだからな。今日はお前が起きて、俺を起こせよ」
「わかりました!」
神崎さんは腕を組んで、目をつむっていた。

昨夜、迎えに来てくれた帰り、私はコンビニ袋の中でアイスが溶けているのに気がついた。
自分が悪いんだから仕方ない。そう思い、諦めた。
「俺、コンビニで買いたいものあるから付き合え」
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