雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
【雨降る傘の下で、愛は始まる】
色々あった神崎さんとの3ヶ月の同行研修が終わった。
数日後、会社を出ると水森くんと一緒になって、駅に向かって歩いていた。
「朝比奈、3ヶ月の研修お疲れ様」
「うん、外回りって大変だね。でも色々なこと学べて良かったよ」
「神崎さん、大丈夫だった?」
「う、うん・・・」
「俺が朝比奈と一緒に行きたかったなぁ」
「松草さんが私と一緒だと気にするし、水森くんじゃなくて良かったよ」
「・・・知ってるの?」
「うん、2人が一緒に帰るところ見ちゃった。雨の日・・・」
「見られてたんだ・・・松草に告白されて、それであの時雰囲気に流されて・・・でも、本当は朝比奈のこと、思っているんだ」
「あっ、私、内緒だけど神崎さんと付き合ってるから」
神崎さんが言ってたように、水森くんに付き合ってるっていう嘘をついた。
「えっ、あんなに嫌がってたのに?」
「2人の時は優しいの。私、ちょっと寄り道するから。内緒にしてね。お疲れ様」
私は水森くんと強制的に話を終わらせて、駅の近くのお店に、用も無いのに立ち寄った。

翌日、少し席を離れて周りに人がいない時、神崎さんに、昨日、水森くんに『本当は私のことを思ってる』と言われたこと、神崎さんと付き合っていると言ったことを報告した。
「そう、わかった」
2人で席に戻り、仕事に取りかかった。
「なぁ、朝比奈」
「はい」
神崎さんの方に顔を向けると、頬杖をついてこっちを見ていた。
「美咲、可愛いな」
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