雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
「冗談でしょ、水森くん。大きな声出すわよ」
「もう、誰もいないよ」
腕を掴まれ、逃げられない。
「助けて、神崎さん!」
咄嗟に、神崎さんの名前を叫んでいた。
水森くんの顔が近づいた時、もう1つの手が私を掴んだのと同時に、水森くんが私から離れた。
「お前、何やってるんだ、俺の美咲に」
そこにいたのは、神崎さんだった。
「なんで神崎さんが?」
引き離された水森くんは青ざめていた。
「お前、最低だな」
「神崎さんと・・・本当に付き合ってるのか、朝比奈?」
神崎さんは私を抱き寄せ、顔を近づけて、水森くんには分からないように、顔を寸前で止めた。
きっと、水森くんには、キスしているように見えている。
「これで分かっただろ。俺と美咲は付き合ってる。松草に言われたくなかったら、もう2度と美咲に手出しするな。それと俺達の事は黙ってろ。その2つが条件だ」
水森くんは、黙って私を見て、その場を去って行った。
「良かった、間に合って」
「神崎さん・・・直帰だったんじゃ・・・」
「確認したいことがあって、戻って来たんだよ。そしたら、朝比奈と水森が見えたから」
私は急にほっとして、涙が溢れて来た。
「ありがとうございます」
「俺に助けを求めただろ?やっぱりいざとなったら、彼氏だよな」
「か、彼氏ではないですけど・・・でも助けてくれてありがとうございます」
「ちょっと待ってろよ。一緒に帰ろう」
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