雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
神崎さんが自分の席に戻っている間、私はさっき神崎さんの顔が近づいた時のことを思い出して、体中が熱くなるほど、どきどきしている。

しばらく待って、神崎さんと一緒に会社を出た。
「また、雨かよ」
外に出ると雨が降り出していた。
「朝比奈、俺が持つから、傘貸して」
「傘、持ってないんですか?」
「・・・忘れた」
私は、傘を渡し、神崎さんの横に並び、傘に一緒に入った。
「もっとこっち寄れよ。濡れるから」
「は、はい」
ゆっくりと歩きながら、神崎さんの体に時々触れて、雨が降ったことに感謝した。

「なぁ、なんで俺の名前呼んだの?」
「それは・・・」
「仮彼だからか?」
「咄嗟に出たので・・・」
「それって、朝比奈の無意識に俺がいるってことだろ?」
そう、神崎さんへの思いは、私の無意識の中にも浸透しているくらい、好きなっている。
「俺、散々お前に振り回されているのにな・・・」
「そ、それは・・・すみません」
「ほんと、ほっとけないよな、朝比奈は」
神崎さんは、満面な笑みで私を見た。
「素直になれよ。なぁ、本物の俺の彼女になれば?いつでも守ってやるよ」
「お断りすれば・・・」
「そんな権利、朝比奈にあるの?」
「ありますよ。ありますけど・・・」
「けど、何?」
「断る理由も見当たりません」
「それって、どういうことかはっきり言えよ」
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