雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
雨が降る中、人通りが少ないところで、神崎さんは足を止めて、私と向き合った。
「それは・・・」
私は恥ずかしくて、なかなか本心を言えなかった。
「ごめん、意地悪言った。なぁ、朝比奈」
真剣な目をした神崎さんに見つめられ、目が離せない。
「俺を本物の彼氏にしてくれないか」
その言葉を聞いて、まさか、神崎さんが彼氏になってくれるなんて思ってもみなかったから、嬉しさのあまり、涙が溢れてきた。
「神崎さん、彼氏になってください」
「美咲」
神崎さんは、傘をさしていない手で、私の顎を神崎さんと目が合うように上げて、私の唇に軽くキスをした。
恥ずかしい・・・
下を向くと、神崎さんに抱きしめられた。
しばらくして、抱きしめられたまま
「なぁ美咲。研修の出張終わったから、一緒に泊まりがけもないよな」
「そうですね・・・色々とハプニングがありましたけど」
「前は同じ部屋でも一緒には寝れなかったしな」
「そ、それは当たり前じゃないですか。でも私、初めて男の人と一緒の部屋で過ごして緊張したんですから」
「・・・このまま家に来ないか?」
「えっ?」
「まだ、一緒にいたいんだ」
体が離れ、見つめられた優しい眼差しに吸い込まれそうだった。
「急だったか・・・今度にしようか」
そう言って、神崎さんが歩こうとした時
「私も、まだ一緒にいたいです」
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