雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛

朝陽さんは手を止めて、私に書類を説明するふりをして
「今日金曜だから、着替え持って来て、家で待ってて」
小さな声で言われた言葉に、私が目を丸くしていると
「わかったか？朝比奈」
朝陽さんは、説明が終わったような態度をとって、またパソコンに向かった。
「は、はいっ！」
落ち込んだのも束の間、また一緒に過ごせる、その思いでどきどきしてきた。

会議は、来週から始まる全国営業強化プロジェクトの打ち合わせだった。
今までには無かったけど、プロジェクトとして、支社から次世代リーダーとなる営業担当が1か月、本社営業部と打ち合わせや外回りをするらしい。
本社は、もちろん朝陽さんもメインメンバーに入っている。
そして長井さんから、私はサポート役として携わって欲しいと言われている。

会議が終わり、長井さんから
「朝比奈、サポート役として、来週から頼むね」
「はい、何でも言ってください」
「神崎、朝比奈を頼むよ」
「わかりました」
朝陽さんと一緒に仕事ができることは、とても嬉しかった。
会議が終わってから、来週に備えて、資料を揃えたり、会議室の準備をしたりして、1日が終わった。

定時になり、私は片付けをして帰る準備をしていた時
「朝比奈、ちょっと」
朝陽さんに手招きされて、会議室に入っていった。
「ごめん、今日、来週の準備で遅くなるから、ご飯先に食べてて。俺は帰ったら適当に食べるから」
「わかりました。先にお邪魔して待ってます」