雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
「は、はい、そうですね」
はぁ・・・これからずっと神崎さんが隣だと思うと緊張感半端なく、それだけでどっと疲れそう。

神崎さんは、背が高く、すらっとした姿、二重の切れ長で涼しげな目元、端正な顔立ちは、初めて見る人はかっこいいと見惚れると思う。
実際、私も初めて見た時はそう思った。
それに、仕事は営業部で期待されている存在だ。
「朝比奈、早く席替えしろ。この資料の入力急ぎだから」
資料を無造作に渡された。
愛想が良く、優しければ、きっとモテまくりなのに・・・

その日の午後、長井さんに神崎さんと一緒に呼ばれた。
「朝比奈って、内勤だけだと、客先の人達と営業担当がどう接しているかとか、自分がした仕事が、客先にどう繋がるかとか分からないだろ?」
「そうですね。皆さんが大変なのは凄くわかりますが・・・」
「実際、現場を目にすると、外回りしている担当のフォローもしやすいと思うんだ。だから、3か月間、神崎が行く出張や外回りに、何件か同行研修してみたらどうかと思ってなぁ。いいだろう?神崎」
神崎さんはしばらく黙っていて、身長さのある私を見下ろして
「朝比奈は同行、したいのか?」
同行してみたい、その気持ちはある。
ただ、本当は神崎さん以外の人と行きたい。
でもそんなことは言えるはずもなく
「はい、同行したいです」
その答えに神崎さんは、はぁ・・・と小さなため息をついて
「わかりました」
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