雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
すると、朝陽さんがテーブルの下で、私の左手を指を絡めて握ってきた。
私も朝陽さんの手を握り返す。
今週は、ゆっくり話もできなかったから、凄く不安だったけど、この手の繋がりが、私の不安を払拭した。
皆が津田先生に質問している中、私は左手の温もりで幸せいっぱいだった。
「朝比奈は、津田の実習の時の生徒だったのか?朝比奈ってどんな生徒だった?」
長井さんは相当酔っていて、学生時代のことを質問していた。
「そうですねぁ、凄く素直で、どこか危なっかしくて、めちゃくちゃ可愛いくて、一番長く傍にいたかなぁ。あっ、そうだ!なぁ朝比奈、実習の最後の日、俺に言った言葉、覚えてる?」
最後の日・・・
はっ!それはここでは・・・
「津田先生、それは高校生の頃の話ですから」
「えーっ、俺、凄く嬉しかったのに」
「や、やめてくださいよ」
「いいじゃないか、だって学生の頃の話だろ?俺の事好きだったって」
どうしよう。
いくら高校生の時のことと言っても、朝陽さんには聞いて欲しくなかった。
「その好きは、憧れの好きですから・・・」
すると、朝陽さんの手が私から離れた。
私が朝陽さんを見ると、朝陽さんは隣の人達と話し始めた。
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