雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
「俺の言葉を信じて、ほんと無防備だな。危なっかしいよ」
それ以上、顔を見ていると自制心が効かなくなりそうで、顔が見えないように体の向きを変えたんだ・・・
その時の俺は、美咲との日々を思い出し、胸が苦しくなっていた。
あんな気持ち、初めてだった・・・
俺は気づいたんだ。
美咲への自分の気持ちに・・・
そして、心から人を好きになるってことの心の痛みも・・・

水森の件で、仮の彼氏ってことで距離を縮めたけど、本物の彼氏になることはないだろうと思っていた。
きっと、美咲は俺の事、嫌だと思っていたから・・・
でも、あの日、水森に美咲が迫られていた時、他の男に渡したくないと思った。
そう、例え津田でも。
ただ、津田は男の俺から見ても、いい男だから恋愛経験が少ない美咲は、まして昔に恋心があったら、気持ちが揺れるかもしれない。
俺は動揺を隠しきれなかった。

今日は酔わずにはいれない。
冷蔵庫からビールを取り出した時、携帯が鳴った。
津田からだった。
「神崎、1人か?」
「あぁ、1人だけど」
「そっかぁ、なぁ、神崎。朝比奈って、お前のこと好きなんだな」
「なんでそう思うんだよ」
「ずっとお前見てるからさ。付き合ってるんだろ?」
「・・・」
「見てたよ、今日、テーブルの下で手、繋いでただろ?」
「分かってて、わざと昔の話をしたのか?」
「試したんだよ。お前の本気度を」
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