雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
【葛藤 ~朝陽】
「津田、もういいだろ。今日は帰って、美咲がいない時に来いよ」
「別にいいだろ。朝比奈とも一緒に会いたいんだよ。」
「ご飯も一緒に食べただろ?俺も今日は疲れてるから」
「お風呂上がりの朝比奈、可愛かったからなぁ・・・2人きりにさせたくないなぁ」
「いい加減にしろよ。美咲は俺しか見えてない」
「俺、宣戦布告したよな」
「もう、あきらめろ」
「まだ、時間はあるよ」
余裕の津田に対して、俺は余裕がなかった。
間違いなく、津田と美咲の距離が縮まっていて、正直、俺はかなり焦っている。
「好きにしろ」
俺は心の余裕の無さを悟られないように、津田に言った。
「でも、朝比奈が寝たんじゃ、面白くないしなぁ・・・今日は帰るよ」
津田は美咲が眠る寝室の方を見て
「でも、タイムリミットまではまだある。あきらめないから」
そう言って玄関を出て行った。

俺は、ベッドに横になり、美咲の頭を撫でる。
「美咲、俺から離れないよな・・・」
美咲の寝顔を見ていると、津田に取られたくない。
嫉妬に駆られた。
「美咲・・・美咲?」
頭を撫でながら、名前を呼ぶと、美咲の瞼が少し開いた。
「・・・朝陽、さん・・・津田さんは?」
「帰ったよ」
「そう、なんですね。お話できましたか?」
「あぁ」
「そうですか・・・良かった・・・」
美咲の瞼がまた閉じそうだった。
美咲は俺のものだ、その絆を体で感じたくなり、唇を奪い、首筋に唇を落とした。
「朝陽さん・・・」
「さっきの続きだよ」
俺の抑えきれない衝動を、寝ぼけまなこの美咲は受け入れてくれて、久々に愛を確かめ合った。
< 55 / 96 >

この作品をシェア

pagetop