雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
美咲は、俺を裏切るようなことはしない。
でも、美咲の中には、俺の知らない、津田との思い出がある。
その気持ちに、津田の思いが伝われば、どうなるんだ・・・
あれこれ考えていると、もやもやが増してきた。
電話が鳴ってる。
見ると美咲からだった。
「どうした?」
『まだお仕事ですか?』
「あぁ・・・なぁ美咲、今日津田との買い物は楽しかったか?」
『色々お店回ったりして、楽しかったです。でもやっぱり』
「神崎!戻ったぞ」
「悪い、長井さんが戻って来たから、電話切るな」
慌てて電話を切った。
早く仕事を終わらせて、美咲に会いたい。
でも・・・
今の俺は、美咲が津田との話をした時に、平然でいれるのか。
その自信がない。
きっとこの間の飲み会のようになる。
いや、あの時よりもっと嫉妬心は強く、余裕がない。
美咲の笑顔が目の前から無くなってしまったら・・・

「神崎、今から打ち合わせ、出来るか?報告書まとめて、明日もう1度、客先に行くから。神崎も一緒に頼むよ」
「わかりました。打ち合わせ終わったら、直ぐに取りかかります」

気持ちの葛藤の整理がつかないまま、打ち合わせに入った。
打ち合わせが終わり、報告書に取りかかろうとした。
美咲に連絡しないと・・・
『美咲、今日遅くなりそうだし、明日も朝から仕事だ。今日は自分の家に帰って美咲もゆっくりして』
『分かりました。無理しないでくださいね。おかず作りましたので、冷蔵庫に入れておきますね』
美咲・・・
携帯を置いて、上を見上げる。
美咲のことになると、全く余裕がない。
俺って、こんなに嫉妬深く、憶病だったのか・・・
< 59 / 96 >

この作品をシェア

pagetop