雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
「俺も始めの頃は、緊張してたよ。先輩と同行してどうやって答えてるかとか、今でも気を張って聞いてる。まぁ、朝比奈はあくまでも研修の一環だから、そんなに緊張することないんじゃない?」
「そうなんだけど、神崎さんとだから・・・」
「何かあれば、いつでも相談しろよ。本社で同期は2人なんだから。支え合っていこうぜ」
「ありがとう・・・」
水森くんの笑顔、ほんと癒やされる。
「同期が朝比奈で良かったよ。朝比奈って、ほんと可愛いよな」
「いやだ、やめてよ」
「ほんとだって。俺、朝比奈の同期ってこと自慢だし」
今この時間が、凄く幸せだった。
「なんだ、お前ら付き合ってるの?」
「神崎さん!」
後ろから声をかけてきたのは、神崎さんだった。
「いえ、同期ですから」
「そうか、2人は同期だったな。まぁ、気をつけて帰れよ」
神崎さんは、2人を追い越して、帰って行った。
「もー、神崎さんたら・・・ねっ、水森くん」
私は照れ隠ししながら、水森くんに声を掛けた。
「そう見えるくらい、本当に仲いいもんな」
水森くんの言葉を、私は自分の都合の良いようにすり替えてしまっていた。
1人の女性として見てくれている?
「じゃあな、朝比奈。気をつけてな」
1人で恋心に浸っていると、いつの間にか駅に着いていた。
「水森くんも。また明日ね」
水森くんとは反対方向だから、駅の改札口で別れた。
「はぁー、同行が水森くんなら、ウキウキするのに・・・」
そう思いながら、人混みの中、ホームに向かった。
< 7 / 96 >

この作品をシェア

pagetop