雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
その言葉に美咲はただ頷いた。
「介抱してくれて、ありがとう。家に連れて帰りますので」
美咲を負ぶって、呆然としている彼にお礼を言った。
「坂田くん・・・またね」
美咲はその後、腕を首に回して俺に寄りかかった。

駐車場に着き、助手席に乗せてから、帽子と眼鏡を取り、美咲に水を飲ませた。
「大丈夫か?」
「うん・・・」
「全く・・・やっぱり迎えに来て良かったよ」
「朝陽さん・・・」
「どうした?」
「大好きです」
「ほんとにもう、心配かけて」
美咲をぎゅっと抱きしめて、頭を撫でた。
体を離すと、俺の顔を撫でながら、美咲がささやいた。
「私だけの朝陽さん・・・」
お酒に酔った美咲の潤んだ瞳は、いつもの妖艶な瞳に色気が増していた。
こんな目で見つめられたら、他の男もたちまち虜にされるだろう。
「美咲、お前は・・・」
叱る前に、美咲の色気に負けて、唇を奪うと、美咲の欲望ある口づけに戸惑った。
俺の前以外で、2度とお酒を飲まさないようにしないと・・・

家に帰った頃には、美咲は眠っていて、酔いが覚めるまで起こさないように、静かに寝かせた。
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