雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛

【初めての同行研修 迷子編】

私の不安とは関係なく、宿泊出張の日がやって来た。
初めての出張なのに、同行相手が神崎さんだから、落ち着かない。
昨日の夜は、緊張して眠れなかった。

待ち合わせ時間よりも30分前に着いちゃった・・・
化粧室に行って、飲み物とか忘れてないか確認して、待っていた。

少し離れたところから、一際かっこいい男性が見えたかと思ったら、それは神崎さんだった。
普段の神崎さんを知らない人は、イケメンのサラリーマンだと思うんだろうなぁ・・・
「ごめん、待たせたな。行こうか」
前を歩く神崎さんに付いて行こうとしたけど、身長の差があるから、歩幅が違って、小走りしないと置いて行かれそうだった。
神崎さんが振り向いて、私が遅れているのを見て、険しい顔をしていた。
「すみません、遅れてしまって」
神崎さんは私の顔をじっと見て、小さく息を吐いた。
「悪い。感覚がわかってなくて、早すぎたな」
そう言うと、振り向いてホームに向かって、また歩き出した。
でも、さっきとは違って、歩く速度が遅くなり、私は小走りをしなくても大丈夫になった。
初めてだから、まだ許してもらえてるんだ。
調子に乗っちゃダメだ・・・