雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
年末は、私の家の片付けで、最低限必要なものは朝陽さんの家に運び、お正月には、両家に挨拶回りに行き、あっという間に休みが終わった。
営業部は12月と1月は通常の仕事と挨拶回りもあるから、忙しい。
朝陽さんは、今週2日間出張があり、それ以外も外出も多く、疲れている様子だった。
「美咲、おやすみ」
ここ毎日、おやすみのキスをし、ぎゅっと抱きしめてくれた後、そのまま朝陽さんは寝室に入っていった。
「寂しいけど、仕方ない」
クリスマスからドタバタしていて、甘えたいけど、我慢していた。
朝陽さんも疲れているんだ。
でも、明日は金曜日。
甘えさせてくれるかな・・・

仕事も終わり、ご飯の支度をした。
今日はきっと甘い夜を過ごせる、そんな期待をすると、朝陽さんの顔を見てどきっとした。
私は先にお風呂に入り、2人でご飯を食べ、朝陽さんがお風呂に入っている間に後片付けをした。
「もう、寝よっか」
朝陽さんと一緒に寝室に行き、ベッドに入った。
やっぱりどきどきする。

「美咲、おやすみ」
朝陽さんは、私に背中を向けて、横になった。
あれ?何もないの・・・
こんなこと無かったのに。
よっぽど疲れてるのかな・・・
でも、どんなに疲れていてもぎゅっと抱きしめてくれたり、おやすみのキスはしてくれるのに。
もしかして、何か怒るようなこと、したのかも・・・
寂しくて朝陽さんの背中に顔をつけた。
「美咲」
「ご、ごめんなさい、起こしちゃって・・・」
朝陽さんは、私に体を向けて
「何か言いたいことあるの?」
言いたいことって・・・
「い、いえ、別に」
「あっ、そう」
朝陽さんは仰向けになって、目をつぶった。
隣にいるのにこんなに寂しいなんて・・・
疲れているのは分かってる。
でも・・・
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