雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
津田さんは満面な笑みを浮かべて、唇の端に付いたクリームを舐めていたっけ・・・
あの時、高校生に戻った気分だった。
そして、私が残りを食べていた時に
「仕事してる神崎に写真、送ってやろう」
そういって、荷物を置いて写真を撮っていた。

あの時は、朝陽さんとも色々あって、津田さんが帰って、しばらく落ち着いた時に
「朝陽さん、ソフトクリームの写真ですけど・・・」
「ソフトクリーム?何のこと?」
「・・・あっ、すみません、美味しそうなソフトクリームの写真を見たようなって。食べたくて、勘違しちゃいました」
「美咲は、ソフトクリーム大好きだもんな」
朝陽さんは笑って、手元の本を読んでいた。

あの写真は、朝陽さんに送信されていなかった。
朝陽さんに言えなかった、私と津田さんの楽しい思い出・・・

★同期の秘めた気持ちを胸に刻んで ~朝陽★

「美咲も言ってたけど、津田に彼女が出来て、安心した」
「取られない安心か?だって、神崎が朝比奈を譲ってくれなかったからだろ」
「当たり前だろ。でも、あの時は津田を選んだと思ったよ」
「はぁー、神崎に遠慮せず、もっと強引にいったら俺のものになってたかなぁ」
「残念だな、もう遅い」
「そうだな。朝比奈の幸せそうな顔見れて、良かったよ」
「美咲とは全く違うタイプの彼女と付き合ってるんだな」
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