天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 一時間後。

 真っ白だった紙に書かれているのはミリエラの力作であった。三人それぞれに絵と文章を書いた"お手紙"である。

「ニコラ、ニコラ。お手紙、封筒に入れて!」

「はい。かしこまりました――封蝋も押しましょうね」

「押すぅ!」

 両手を高く上げ、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、あえてはしゃいだ表情を見せる。これが、この家でミリエラが愛情を失わないでいられる術。生存戦略なのである。

 

 そして、ミリエラは五歳の誕生日を迎えることとなった。

 やはりジェラルドは姿を見せなかったけれど――。

(寂しいって言うわけにもいかないよねぇ)

 厨房にいるのは本館から通ってくる料理人だが、その料理人が心を込めて作ってくれたご馳走にケーキ。乳母一家と同じテーブルにつく。

 本来、使用人は雇い主と同じ食卓にはつかないものだ。だが、ニコラ達乳母家族とミリエラは家族みたいなものだから、ミリエラも皆と一緒に食卓を囲む。

「ミリエラ様、お誕生日おめでとうございます」

 ニコラからは、ブローチで手持ちのワンピースにつける手編みのレース襟が贈られた。

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