天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 今まで地味だったワンピースが、華やかに見えるのが嬉しいし、がらりと雰囲気が変わるのも嬉しい。

「ミリィ、俺からは、これ」

 カークからは、蛇の抜け殻。カークの宝物らしい。

カークはミリエラより一歳上の六歳である。年齢のわりにしっかりとした体格なのは、騎士である父オーランドの血が濃く出ているのだろう。髪の色と瞳の色は、父親であるオーランドと同じ黒。
 やや垂れ目気味の甘い顔立ちは、母のニコラそっくりだ。年頃になったら、女の子達がきゃあきゃあ騒ぐんだろうなとミリエラは思っている。
 だが、女の子にあげるプレゼントを選ぶセンスはまだないらしい。

「カーク、ミリエラ様になんてものを渡すの! ああ、やっぱり事前に確認すべきだったわ! それはダメ! 返しなさい!」

 蛇の抜け殻を見たニコラは悲鳴をあげた。

 たしかに、女性――女の子――への贈り物には、あまり向いていないだろう。だが、ミリエラはにっこりとしてそれを受け取った。

「大丈夫! ミリィ、これ欲しかったの!」

 あまり触りたくないから、二本の指で抜け殻をつまむ。もう動かないとわかっていても、触るのは怖い。

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