天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 カークは目を丸くした。ジェラルドに抱き上げられたままのミリエラも、きょとんとしてしまう。

 王族。たしかに侯爵がいるのだし、ここは王国なのだから王族というのは存在するのだろう。

 だが、王族がここまでやってくるとはいったいどういうことなのだ。

「殿下がグローヴァー侯爵家の領地で暮らすことになってね。近くに、殿下のお屋敷を用意したんだ。屋敷の敷地内は王族の直轄領ということになる」

 ふむふむ、とミリエラは考えこんだ。

 たぶん、塀の向こう側には、侯爵家の勢力はまったく及ばないということなのだろう。前世で言うところの治外法権みたいなものか。

 おそらく挨拶に立ち寄るのだろうと判断し、ならばふりふりのドレスに着替えさせられたのもしかたないと納得した。王族を屋敷に招くのは名誉だから、普段着というわけにもいかない。

「パパ、今日のパパも素敵だね」

「そうかな。ミリエラがそう言ってくれたのならよかったよ」

 これはお世辞ではない。

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