天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
(あとで、これを入れる箱をもらおう――!)

 カークの厚意は無にしたくないが、目に見えるところに置いておきたいかと問われると別問題だ。ニコラはうろたえた目で、ミリエラの指先でぷらぷらしている蛇の抜け殻を見た。

「で、でも……」

「蛇は縁起がいいんだよ。だから、いいの」

「ミリエラ様は、時々、難しいことを言うから……」

 ぼそりとニコラが言うのに、ミリエラは顔を引きつらせた。

 年齢に見合わない発言をしてしまうのは――中身が中身なので、しかたのないところなのだろう。縁起がいいのは白蛇だった気がするが、それは前世の知識だし、細かいことは気にしない。

(ちゃんと子供としてのふるまいができていると思うんだけどなぁ)

 ――もしかしたら。

 もう少し大人になる頃には、前世の記憶が消えてしまうのかもしれない。それが、幸せなのか不幸なのか、今のミリエラにはよくわからないけれど。

「最後は、俺からだな。俺から、ミリエラ様にプレゼントするのは――これだ!」

 オーランドが茶目っ気たっぷりに取り出したのは、革製の肩掛け鞄だった。

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