天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 柔らかな革は、上品なキャラメル色。金色の金具がついているのが、とても可愛らしい。

「それと、もうひとつ。これもな」

 オーランドは、ミリエラの前にもうひとつ包みを差し出した。その包みを開いて、ミリエラは目を輝かせる。

「すごい! 色がたくさんある!」

 大きな箱の中に、びっしりとクレヨンが並んでいる。五十本ほどもあるだろうか。

 同じ色をしているものはない。赤だけでも濃淡様々五本以上あり、これだけの色があれば、何を描いても困ることはなさそうだった。

「ありがとう! 皆、ありがとう!」

 五歳の誕生日。

 今年も父に会うことはできなかったけれど、こうして乳母家族がミリエラを気遣ってくれるのだから十分だ。これ以上を望むのは、贅沢というものだろう。

「それから、ミリエラ様。五歳の誕生日を迎えたということはわかりますね?」

「マナがあるか調べるんだね?」

「はい、その通りです」

 この世界が日本と違うのは、魔術が生活の大半を担っているという点だ。

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