天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 いくら王族で、厳しく育てられているとはいえ七歳はまだまだ子供だ。親元を離れるには幼過ぎる。

(いや、私がそれを言うべきではないな……)

 と、内心苦笑。

 生まれたばかりの娘を放り出し、親友夫妻に投げ出したのはジェラルド自身。

 もちろんそこに、娘まで不幸にしたくないというジェラルドなりの願いがあったのは事実だが、実際のところそんな呪いは存在しなかった。

「とんでもない。娘も殿下とお目にかかることができて喜んでおります。お屋敷に、剣の稽古の相手が務まるような同年代の者がいないようでしたら、カークがお相手を務めることもできるでしょう」

 ――もし。

 ディートハルトの手を握り、ぶんぶんと上下に振って別れの挨拶をかわしているミリエラを見ながら考える。

 もし、生まれた時から一度も手元から離さないで育てたら。ミリエラが育っていく過程を、一瞬も見逃さないですんだのに。

 初めての寝返りも、座った時も。歩き始めた時、意味のある言葉を発するようになった時も――それらはいつもオーランドやニコラの口から聞かされるものであった。

「パパ? どうしたの?」

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