天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「そうなんだよね。こうやって魔石は持ってきたけど――使い道なんてないって言われてしまったよ」

 苦笑いしながら、ディートハルトは敷物に置いていたカバンを引き寄せた。
その中から取り出した袋をさかさまにすると、キラキラとした魔石がごろごろと石の上に転がり落ちる。

「うわぁ、綺麗だねぇ……ミリィ、スライムの魔石見るの初めて!」

 魔石は、魔物の種類によっても形を変える。

 魔道具の素材となったり、マナの保管庫となったりする魔石は、ジェラルドの仕事部屋で見かけるもの。

 だが、マナを注入すると崩れてしまうスライムの魔石は素材にはならないので、仕事部屋には置かれていないのである。

 体内に取り込んだものが魔石の色に影響しているのか、スライムの魔石にはわずかに色がついているものもある。

「ほら、キラキラしてる!」

 スライムの魔石を、日の光にかざしてみる。こんなに綺麗なのに、値がつかないというのはもったいない。

「それなら、全部ミリィにあげるよ。倒したから、なんとなく持ってきただけだし」

「ほんと? いいの?」

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