天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 糸のように細くなるまで体内のマナを練り上げる。そして、一滴だけマナを抽出したら、放出をやめる。

「……えぃ」

 勢いよく注ぐと崩れてしまうので、細く、細く注いだ。ミリエラの肩越しにその様子を見ていたジェラルドは首をかしげる。

「ミリエラ、今のでマナを注入することができたのかな?」

「できてるよ。でも、ほんのちょびっと、ね」

 ミリエラのマナを注いだ魔石を取り上げて、しみじみと観察している。

「――私も、やってみようかな。実は、スライムの魔石を少し取り寄せていてね」

「ディーの魔石じゃなくて?」

「殿下の魔石は、ミリエラのために持ってきてくれたものだろう。それを、大人が取り上げるわけにはいかないから」

 たくさんあるから、ジェラルドも有効活用すればよさそうなものなのに、ディートハルトに気を使っているようだ。

 一度立ち上がったジェラルドは、木箱を持って戻って来た。その中には、三十個ほどのスライムの魔石が入っている。

「少しってどのくらいかな」

「少し、うんと少し」

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