天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！

　その試験販売は、知り合いの屋台主に頼むことにした。彼の屋台ではサンドイッチを売っているのだが、そのうちの半分を保冷布に包んで売ることにしたのである。

　ミリエラは屋台の手伝いに行ったけれど、ジェラルドは、屋敷で待つことにした。自分の容姿が目立っているのはよく知っている。

　彼が様子を見に行けば、屋台に領主が関わっていると周囲に知られることになるとも思ったのだ。

　だが、何か問題が発生したようで、オーランドが屋台の主を連れて屋敷に戻って来た。

「どうした。何か問題があったか？」

「いえ、うちとしては売り上げが上がるのは大歓迎なんですが。他の屋台と差がついてしまうのは――」

　侯爵家で働いている者の親戚に、保冷布の実験に付き合ってもらった。それがこの屋台主である。

　もちろん、謝礼は払って頼んだのだが、周囲の屋台からは公平ではないという声があがったそうだ。保冷布の仕入れ先を教えろと、詰め寄られて困っているらしい。

「わかった。どうすればいいか数日考える。今回は、実験に協力してくれて助かった」