天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 屋台主には丁寧に礼をし、謝礼も渡し、何かあれば領主屋敷に連絡するようにと言って帰す。

(さて、どうしたものか)

 ミリエラの探求心には、目を見張るものがある。

 錬金術を基礎から学ばせてはいるけれど、あそこまで忍耐力があるとは思ってもいなかった。

 自分の望んだ結果が出るまで何度でもチャレンジを繰り返すことができるというのは、ミリエラの美点だろう。

(――それにしても、マナの扱いにかけては天才という他はない)

 精霊を見ることのできる特殊な目を持って生まれてきたというのもあるのだろう。だが、ミリエラはそれだけではなかった。

 マナの流れを把握し、適切にコントロールする。その巧みさはすでに熟練の錬金術師の域に達していると言っても過言ではない。

 細く、細く、彼女の目には髪の毛ほどの太さに見えるほど細く絞り出したマナをそっとスライムの魔石に流し込む。

 誰も、そこまで細くしようとしなかったのは、スライムの魔石にさほど価値を見出していなかったからだ。

 だが、スライムの魔石に水属性を持たせると、一定の冷たい温度を保つことができると発見したのは、ミリエラだった。

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