天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 ジェラルドがやる気になってくれたのは嬉しいが、スライムの魔石にマナを注ぐなんていう地味な仕事をやらせるつもりはなかった。

「パパ、もっと細く。もっと細く。もっとよ」

「……難しいな」

「スライムの魔石は繊細なんだから、そっと入れて」

「こうかな――うわ」

 ジェラルドが、魔石に注いでいたマナはあっという間に崩れてしまった。ミリエラは、くすくすと笑う。

「難しいでしょ」

「ミリエラの言うとおり、とても難しいね。でも、なんとなくコツは掴めてきた気がするよ」

 スライムの魔石にマナを注ぐには、指先から放出するマナを思いきり細くし、ほんの少しだけ注がなくてはならない。

 溶液に溶かしてからマナを注げばいいのではないかと思って試してみたけれど、そうなってからではマナを受けつけなかった。順番は、きちんと守らなければならないということらしい。

「もっと細く、もっと――そうそう、そのくらい。あ、ストップ!」

 マナを一度に注入し過ぎたら、再び崩れてしまう。ジェラルドの額に汗が浮いているのに気づいて、ミリエラはハンカチで拭ってやった。

「ありがとう。もう一回試してみよう」

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