天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 ふたりともまだ髪の毛が少し湿っているのは、稽古を終えて水浴びをしたその足でここに来たからだろう。

「侯爵、ミリィと遊んでもかまわないか」

「もちろんですとも、殿下。ミリエラ、もう行きなさい」

 父が立ち上がるのと同時に、膝から滑り降りたら、ディートハルトの目が、机の上に並ぶ魔石に向けられた。

「侯爵、それはスライムの魔石だよね」

「わかりますか、殿下」

「ここに並んでいる魔石は、僕が取って来たものが大半だから。スライムの魔石だけは、他の魔物の魔石と区別がつけられるようになった」

 ディートハルトは、自慢げに胸をそらす。その横でカークはちょっとばかりむっとしていた。

 外に魔物退治に行くことができるディートハルトとまだ行くことのできないカーク。ふたりにとってこの差は、とても大きいらしい。

 あと一年もしないうちに、カークも魔物討伐に行けるようになるのだけれど。

「スライムの魔石にマナを注入するのは、とても繊細な作業です。マナのコントロールの練習になりますね」

「俺もやる!」

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