天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！

　領地内、百人で実験してみたが問題はなさそうだ――あとは、王とディートハルトがどう結論を出すか、だ。

　窓の外を見れば、ちらちらと雪が降り始めている。

（近いうちに、殿下の意志を確認しよう）

　ディートハルトが屋敷を訪れたのは、その翌日。雪がつもった日のことだった。

　剣の稽古は休みだが、庭で雪遊びがしたいとやってきたディートハルトを、ジェラルドは応接間に招き入れた。

　ここにディートハルトを招くのは、大切な話がある時だということを、彼ももう理解している。ジェラルドの真正面に座った彼は、緊張の面持ちであった。その緊張をよく理解しながらも、ジェラルドはゆったりと切り出した。

「ディートハルト殿下。お約束の品が出来上がりました――国王陛下も、ディートハルト殿下の決定通りにするようにとお返事を下さいました」　

「殿下の身に、危険はないのか？」

　ディートハルトの世話係が、不安を覚えているまなざしをこちらに向けた。彼の懸念はよく理解できる。

　王子の身体に、傷をつけるわけにはいかない。