天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！

「我が領地の中で、実験に協力してくれた者、百人には問題が出ておりません。そして、陛下は殿下のご決断に従うように、と」

　ただ、何もないと思われるのも困るので、手順と問題点はきちんと伝えておくことにする。

「まず、殿下にはこちらの治療着を身に着けていただきます」

　治療着は、マジックスパイダーの糸とアカトカゲの皮の抽出液から作った布製だ。ディートハルトの目の前で、ジェラルドが軽くマナを流してみると、赤く発光した。

「我々の目には、マナは見えませんから、この治療着を着ていただきます」

「侯爵、その金具はなんだ？」

「これは、ミスリルですね。胸の部分はブラックドラゴンの牙を利用しております」

　治療着は胸のあたりに銀色の線、そして、肩から袖口にかけても銀色の線が引かれている。その銀色の線は、そこから足の方へも流れていた。この線は、限界まで薄く伸ばしたミスリルを張りつけたものだ。

　そして、治療着の心臓のあたりには、円盤型のミスリル――このミスリルはある程度の厚さがある――の上に、ブラックドラゴンの牙を八本、円を描くように均等に並べたもの。