天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
ジェラルドが頭を抱えていたのはそのせいか。ミリエラの身体に回された腕に、力がこもったような気がした。
「行くの?」
「ディートハルト殿下が、王宮にお帰りになるそうだ。殿下を王宮までお送りするというのも目的に含まれる」
「そっかぁ――ディー、帰っちゃうのか」
まだ共に過ごした時間はさほど長くないのだが、ディートハルトはミリエラの大切な友人となっていた。彼が帰ってしまうのは寂しい。
とはいえ、マナを持たないせいで王宮を出なければならなかった彼が戻ることができるのだから、友人としては祝福してやるべきなのだろう。
「ディーが帰るのなら、王都まで一緒に行くのもいいな」
そうすれば、道中も彼と思い出を作ることができる。ミリエラはグローヴァー侯爵領で生涯を過ごすだろうし、ディートハルトが侯爵領に戻ってくることはないだろう。それならば、今のうちに思い出を増やすべきだ。
最後の時は、少しでも先に伸ばせる方がいい。
「……そうだね。それに、都に行ったら会いたい人もいるんだ。ミリエラのおじい様とおばあ様だよ」
「え? ミリィ、おじい様とおばあ様いたの?」