天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 よく考えてみれば、父方の祖父母は盗賊に殺されたと聞いていたが、母方の祖父母の話というのはまったく聞いたことがなかった。

 母がいた以上、母方の祖父母というのも当然いるはずだが、彼らの存在は完全に失念していた。母が亡くなっているのだから、その両親ももうこの世にはいないのだろうと無意識のうちに思い込んでいたのかもしれない。

「いたよ。ミリエラに会いたいと――君が生まれてから何度も訪ねてくださったんだ」

 ジェラルドはミリエラの髪を撫でながら話してくれた。

 母方の祖父母は、ジェラルドのこともミリエラのことも、とても心配してくれていたそうだ。けれど、今年もミリエラの誕生日直前に来てくれたのを、追い返してしまったのだという。

 今のジェラルドは、その時のことを悔やんでいるように見えた。

(……不幸にしたくなかったんだよね)

 自分に関われば、不幸になる。

 エリアスに諭されるまで、ジェラルドはそう信じ込んでいた。だからこそ、祖父母も屋敷には入れようとしなかったのだろう。

< 223 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop