天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「……それにしても」

 ぼうっと窓の方を見ながらミリエラはつぶやいた。

 視界がうるさい。この世界、ありとあらゆるものに精霊が宿っているというが、どこを見ても精霊が目に入ってくる。

 今も、窓のところに並んだ青い服の小人達がミリエラに手を振っている。

「……なんで、皆平気なんだろう」

 もう少ししたら、慣れるのだろうか。どこを見ても視界をうろうろする精霊の存在に。

(……うるさいなぁ)

 先ほどから、ミリエラを呼ぶ声がうるさい。外に出てくるようにと何度もミリエラを促している。

 庭で遊んでもいい時間になっているし、うるさくしている者を探しに行ってもいいだろう。

 季節は、薔薇の時季を迎えようとしている頃だった。

 侯爵邸には立派な薔薇園があるのだが、春先から真夏に近い時季まで盛りの時がずれるよう、多数の種類の薔薇が植えられている。

 そして今は、初夏に最盛期を迎える品種の薔薇が、美しく咲き誇っているところだった。

「――よし!」

 今日も視界の中でちらちらと精霊達が踊っている。うるさいな、と思いながらも精霊達を追い払うことはしなかった。

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