天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！

　そして、伯爵も昔と変わらなかった。天涯孤独になった頃、どれだけ彼らに助けられたことか。

「まだ、もう少し王都にいるのでしょう？」

　期待を込めたまなざしで、伯爵夫人がこちらを見る。

「ええ、そのつもりです。ミリエラに王都見物をさせる約束もしていますし」

　見るものすべてが、ミリエラにとっては好奇心を強く刺激するものらしい。王都まで来る馬車の中でも大変な騒ぎがあったことを思い出し、くすりと笑った。

　道中のミリエラの様子を話してやれば、伯爵夫妻も目を丸くしたり、手を叩いて笑ったり。初めて会った孫は、彼らにとっても愛すべき存在のようだ。

「――ジェラルド。だが、気をつけた方がいい」

「どういう意味でしょう？」

　ひとしきり楽しい会話をかわしたのち、伯爵は表情を真剣なものへと改めた。

「ミリエラの才能はたしかに素晴らしい。噂によると、マナを持たない人間を、治療する方法を見つけたそうだね」

「はい。ディートハルト殿下が我が領地で暮らすことになりまして――それがきっかけだったのですが」

　ディートハルトはマナを持たない、とされていた。