天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 グローヴァー侯爵領で見ていた気楽な格好とはまるで違うから、少し驚いた。

「王子様なんだねぇってどういうことかな? 僕が王族なのは、よく知っているだろうに」

 苦笑いするディートハルトの表情は、先日までのものと少し違っているように思える。

(やっぱり、ここじゃ寂しいのかなぁ……?)

 もしかしたら、余計なことかもしれないけれど。ディートハルトに、一緒に侯爵領に帰ろうと言ってしまってもいいだろうか。

「うーん、なんかいつもと違う」

 慣れないディートハルトの様子に、カークは首を傾げている。

「なんだよ、それ。カークも来てくれてありがとう。退屈していたんだ」

「だろうな、ここには遊べるやつはいなそうだもんな。よし、俺達と遊ぼうぜ!」

 寂し気な微笑みを浮かべたまま、ディートハルトはカークに手を差し出した。カークはその手をとってにやりとする。今、ディートハルトの側にいるのは、大人だけだ。

 侯爵領でも大人に囲まれていたけれど、ミリエラやカークが近くにいた分、少しはましだったのかもしれない。

「僕には、まだ君達以外の友人はいないからね。弟には何人かいるみたいだけど――」
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