天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「何それ」
ミリエラは頬を膨らませた。弟には友人がいて、ディートハルトには友人がいないというのはどういうことだ。
「ほら、僕はマナが使えなかったから。マナが使えなくても、友人になってくれたのは、ふたりが初めてだったんだ」
マナが使えない以上、王座は弟の方に行く。ディートハルトが、侯爵領で暮らすことになったのも、マナを持たなかったのが理由だ。
大人になったら、新しく領地をもらってそこで暮らすことになっていたらしい。
(事情が変わったってことね。それなら、これからはディーにも友達がたくさんできるかな)
この別館に、ディートハルトの友人がたくさん集まる未来が来るだろうか。そうしたら、今の彼のこの微笑みも、また明るいものへと変わるだろうか。
「じゃあ、何して遊ぶ?」
「ミリィ、かくれんぼがいい! ここのお庭、隠れる場所がたくさんありそうだもん」
ミリエラは、元気よく手を挙げて宣言した。
(今は、ディートハルトに少しでも元気になってもらいたいものね)