天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 ちらりと振り返ったジェラルドの目は、恐ろしいほどに凍り付いていたから。
 何も言えずにいる間に、再び彼は向きを変える。そして、今度こそ、振り返らずに行ってしまった。

 

 * * *

 

 現在二十六歳であるジェラルド・グローヴァー侯爵は、バウムグレン王国を支える有能な錬金術師である。いや、有能な錬金術師だったというべきだろうか。

 彼の不幸は、五歳の時に両親が惨殺されたことに始まった――と言われている。

 ある嵐の夜、侯爵邸に強盗が押し入った。グローヴァー家は代々優れた錬金術師を輩出している家系であり、侯爵邸は、魔道具による守りを固めていたにも関わらずだ。

 そして、当主夫妻だけではなく、その夜本館にいた使用人も全員死亡。
助かったのは、本館以外の場所で就寝していた使用人達と、侯爵の手によって、魔道具であるベッドの下に隠されていたジェラルドただひとりだった。

 そして、生き残ったジェラルドの後見人に誰がなるのか、残された親族の間で醜い争いが繰り広げられることとなった。

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