天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「ジェラルド様……お嬢様ですよ。抱いてあげてください……お母様には、抱いてもらうことができないのですから」
「ダメだ、ニコラ。私が触れたら――触れたら、きっと。娘もいなくなってしまう」
「――でも!」
ニコラが差し出す娘に、どうしても触れることができなかった。
自分に乗り移っている死神が、娘に手を伸ばすのではないかと恐ろしかった。いつか、オーランドやニコラ、カークにまで呪いが伝染するのではないだろうか。
異様な室内の空気を感じ取ったのか、泣き続けている娘を見て、小さくつぶやく。
「名前は……ミリエラ。ミリエラ・グローヴァー……ニコラ、頼む。娘を、私の手の届かないところにやってくれ。本館に住みこんでいる者は、皆、出ていくように――ここに残るのは、私ひとりでいい」
アウレリアの手をさすり続けながら、ニコラにそう懇願する。
ふたりで決めた娘の名前。ふたりの好きな花、"ミリエラ"の名を娘が生まれたらつけようと、そう話し合っていたのは昨日のことだったか、おとといのことだったか。
顔をくしゃりとさせたニコラが、頭を下げる。
「ダメだ、ニコラ。私が触れたら――触れたら、きっと。娘もいなくなってしまう」
「――でも!」
ニコラが差し出す娘に、どうしても触れることができなかった。
自分に乗り移っている死神が、娘に手を伸ばすのではないかと恐ろしかった。いつか、オーランドやニコラ、カークにまで呪いが伝染するのではないだろうか。
異様な室内の空気を感じ取ったのか、泣き続けている娘を見て、小さくつぶやく。
「名前は……ミリエラ。ミリエラ・グローヴァー……ニコラ、頼む。娘を、私の手の届かないところにやってくれ。本館に住みこんでいる者は、皆、出ていくように――ここに残るのは、私ひとりでいい」
アウレリアの手をさすり続けながら、ニコラにそう懇願する。
ふたりで決めた娘の名前。ふたりの好きな花、"ミリエラ"の名を娘が生まれたらつけようと、そう話し合っていたのは昨日のことだったか、おとといのことだったか。
顔をくしゃりとさせたニコラが、頭を下げる。