天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 時々ジェラルドの様子を確認しに本館を訪れるオーランドやニコラが語ってくれるミリエラの話は、何ひとつ聞き漏らさないようにしている。

 ――もし。

 と考える。もし、今でもアウレリアが生きていたのなら――つい、そんなことを考えてしまうのだ。

 アウレリアが生きていたら、今頃、彼女の隣でミリエラと共に微笑んでいたのではないか、と。



(……そろそろ、真面目に考えた方がいいのかもしれないな)

 ミリエラが五歳の誕生日を迎えた頃。ジェラルドは、そう考えるようになった。

 今まで、遠ざけていたくせに、徹底的に遠ざけることはしなかった。いや、できなかった。

 本館と別館。

 離れていても同じ敷地の中だ。いつでもこっそり姿を見ることができるのも、同じ敷地の中にいればこそ。

 だが、このままミリエラをここに置いておいていいのだろうか。もし、ミリエラの身に何か起こったなら。

 ――そして、それは唐突に起こった。

 薔薇の咲き乱れる庭園の一角で起きた巨大な爆発事故。

 思わず閉じこもっていた部屋から飛び出す。感じ取ることができる。あの爆発の中心に、巨大な精霊の存在を。

< 36 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop