天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 生まれた時からアウレリアと一緒だったニコラの話によれば、両親と死に別れ、絶望していた父ジェラルドに寄り添い続けたのが母アウレリアだったそうだ。

 両親が結婚する少し前に、ニコラは侯爵家の護衛騎士であるオーランドと結婚。アウレリアが嫁ぐ時、ニコラも一緒に侯爵家に入ったそうだ。

(まさか、生まれた時にお母様が亡くなるなんて、誰も想像していなかったわよねぇ)

 この世界では、精霊達が暮らしている。そして、グローヴァー侯爵家は、精霊の力を物体に込めて変容させる錬金術に優れた家系であった。

 当然、アウレリアの出産の際には、ジェラルドは妻子を守るために精霊の力を借りて多数の守りを用意した。

 だが、アウレリアはお産の最中に死亡した――神様は、どこまでも意地が悪いらしい。ジェラルドが絶望したのも当然である。
 最愛の女性を奪ったミリエラを、許せないというのもあるのだろう。結果としてミリエラは、生まれてから一度も父と顔を合わせたことはない。

「……お嬢様、こちらでよろしいですか?」

 頼んだものを持ったニコラが戻って来たので、ミリエラは慌ててにこにこと子供の顔を作った。

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