天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 だからと言って、ミリエラの方から彼の心の中にずかずか踏み込むわけにもいかないし――と、ぐるぐる考え込んでしまう。

(また、お茶に呼ぶくらいかなぁ……ニコラに頼んで、ご飯に招待してもらおうかなぁ……)

 ミリエラとふたりきりではなく、信頼できる幼馴染達が一緒ならば、ふたりで過ごすよりももう少し気が楽になるのではないだろうか。

(でも……会えて、嬉しかった)

 両手を広げて、見つめてみる。昨日、この手で父を抱きしめた。

 母のオルゴールは壊れてしまったけれど、両親がどれだけ愛し合っていたのか。見せてもらった記録からでもよくわかった。

 愛し合っているふたりから生まれた。それだけで、十分だ。

 ――けれど、父は、ジェラルドはまだ生きている。

 過去に自分を葬る必要なんてない。母のことを忘れなくても、未来を夢見ることはできるはずだ。

(……となれば、作戦会議よね!)

 もう少ししたら、カークが遊びに来る時間だ。

 エリアスを呼び出して、マナ制御の訓練をして。それから、ジェラルドともっと仲良くなるにはどうしたらいいか、エリアスやカークにも力を貸してもらって考えよう。

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