天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「パパ、待ってて。ニコラを呼んで――」

「いいんだ、ミリエラ――ええと、少し、話ができないかな」

 そう告げるジェラルドの声は、どこか怯えの色をはらんでいる。ミリエラと話をするのに、何を怯える必要があるのだろう。

「うん。いいよ。何をお話する?」

 ジェラルドの前に立ち、両手を後ろで組んで彼の顔を見上げた。

 こわごわと伸ばされたジェラルドの手が、ミリエラの髪を撫でる。その手が大きくて優しくて嬉しくて、ミリエラからも彼の手に頭を擦りつけるようにした。

「別館にいるのは知っていたのに……私は会いにくることもなかった」

「大丈夫だよ、パパ。ミリィ、大切にされてるもの」

 ニコラ家族が、ミリエラを大切にしていないと心配しているのだろうか。そんな心配はしなくてもいい。ミリエラは、乳母一家にも愛されている。

「そうじゃなくて――ああ、今さら、なんだが」

 胃のあたりに当てられている手が、きゅっと拳の形になった。身体にも力が入っている。

 援護を求めてエリアスの方に目をやったら――。

(寝てるし!)

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