天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 精霊であるエリアスは睡眠をとる必要はないのだが、睡眠をとることによってマナの消費を抑えられるらしい。

 エリアスがああやって眠りについてしまっているということは、不安を覚える必要はないのだろう。

「……ミリエラ、本当に、今さら、で」

「パパ、どうしたの? 汗、かいてる」

 ハンカチを取り出し、背伸びしてジェラルドの額を押さえてやる。苦笑したジェラルドは、大きく息をついた。

 青い瞳が、正面から見つめ返してくる。

「大丈夫だ、その――だね。私と一緒に暮らすのはどう、かな……?」

「パパと?」

 その言葉に、思わず目を丸くしてしまった。

 ジェラルドと一緒に暮らすのはたしかに憧れだった。
だが、今までそう望んだことはなかった。彼の心の傷に触れてはいけないと思っていたのに、どうしてこんな申し出をしてきたのだろう。

「いや、今さらだな、わかっている……それは、わかっているんだ。でも」

「……でも?」

 途中で半端に言葉を切るから、ミリエラの方も気になってしまう。ジェラルドは、何を考えているのかよくわからない表情でこちらを見つめていた。

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