天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「私が、ミリエラをニコラ達に預けたのは――グローヴァー侯爵家が、いや、私が呪われていると思っていたからだ」

 ミリエラにもわかりやすいように言葉を選びながらも、ジェラルドはひとつひとつ説明する。
 幼い頃の強盗事件をはじめとし、後見人が何人も不幸に見舞われたこと。そして、ついにはミリエラの出産時に母が命を落としたこと。

「最初はなぜ、アウレリアが命を落とさなければならないのだろうと思った。それから、一瞬、ほんの一瞬だが――君が生まれなければとも思った――父親として、失格だな」
「そんなことないよ」

 もし、ミリエラが同じ立場に立たされたら、同じように考えるかもしれない。自分の一番大切な存在が奪われたとしたら。その原因を恨まずにはいられないだろう。

「だが、私の側にいたら不幸になるのではないかとも思ったんだ――私には、死が憑りついている。これだけ不幸が続くのは、その証拠だ」

 馬鹿馬鹿しいと、笑い飛ばすことはできなかった。ジェラルドの顔には苦悩の色が浮かんでいて、それを消し去ってやりたいと思うほどだ。

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