あやかし戦記 見えない糸
「おい、早く検査結果を教えろ。時間の無駄だ」

ツヤがギルベルトを睨む。ギルベルトは「わかってるよ。全員揃うまで待ってただけ」と言い、検査結果の紙をテーブルの上に乗せる。イヅナたちは机の周りを取り囲み、検査結果を確認する。そこにあった検査結果に、誰もが驚きで目を丸くした。

「これって……」

「マジかよ……」

ヴィンセントがツヤとギルベルトの顔を交互に見つめる。ヴィンセントに見つめられているツヤも、検査結果に動揺して手を震わせている。レオナードは何度も検査結果を読んでいた。

「ギルベルトくん、これが本当なら……」

チェルシーとエイモンが同時に言う。二人は驚きつつも、その目に希望を抱いていた。その希望に満ちた目はツヤを捉えている。

「ギルベルトさん……」

イヅナはギルベルトを見つめる。ギルベルトは微笑み、「うん。イヅナの創りたい世界に一歩近付けるかもしれないんだよ」と言う。

「検査の結果、あの巨人の細胞は変化していた。でもそれは突然変異なんかじゃない。人為的に作り変えられていた。人の細胞が巨人のものに変えられていたんだ。人としての知能を奪われ、凶暴化するように作り変えられていた」
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