あやかし戦記　見えない糸
「着せ替えしたいなら服屋でやれよ」

ライムはギルベルトを睨み付ける。ギルベルトはニコリと彼に笑いかけ、頭を撫でて言った。

「君たちも服屋でしょ？それも一流の」

そうギルベルトが言うと、「撫でるのやめろよ」と言いながらライムはギルベルトの手を振り払う。しかし、その頬は赤く染まっていた。

「仕方ねぇから付き合ってやるよ」

ライムがそう言った刹那、「は〜い、みんな注目！」とキャロルがイヅナの手を引いてやってくる。そのイヅナの姿を見た刹那、ギルベルトの胸が高鳴っていくのがわかった。

イヅナは、紫のリボンのついたヘッドドレスを頭につけ、レースやリボンでとことん甘くなった紫のロリータワンピースを着ている。キャロルに手を引かれているイヅナは、どこか恥ずかしそうにしていた。

「こんな格好、初めてで……。似合ってますか？」

潤んだ瞳で見つめられ、ギルベルトは高ぶる感情を必死に抑えながら「似合ってるよ。紫も似合うんだね、嬉しい」と微笑む。自分のブローチやベストと同じ色を着てもらっていることに喜んでいると、キャロルがグッと親指を立てた。
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