惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
13:交わる時視点(エリーゼside→ルーカスside)
 数年ぶりの再開にも関わらず、私とユーリは火花を散らすようにバチバチと見つめあっている。
 半裸状態の彼女の姿から察するに、やはりルーカスとそういう関係なのだろう。

 私の視界にチラッと入ったダンさんは、完全に白目を向いて石像のように固まっていた。

「ねえ、私からのプレゼントは気に入ってくれたかしら?」

 そう言うと、ユーリは体に巻いている布を自分の体に合うように器用に結び合わせ、まるで純白のドレスのように仕立ててみせた。

「惚れ薬の効果は凄かったでしょう?もしかしたら、もうルーカスとヤることヤッちゃった?私みたいに」

 ユーリは品の無い事を言い放つと、私がさっきまで座っていた玉座に腰掛け、白く艶かしい足を組んだ。
 美しく自信に満ち溢れているその姿は、まるで玉座に座る皇后の様な雰囲気を醸し出している。

「ねえ、黙ってないで教えてよ。何か分かったんでしょ?私が答え合わせしてあげるから、話してみなさいよ」

 ユーリは肘をつきながら、挑発するようにクイッと人差し指を動かしている。
 私は今までの事、そして今の状況を頭の中で整理して、その答えを導き出していた。
 惚れ薬をルーカスが持っていたこと・・・そして半裸のユーリの出現により、全てが繋がった。

 そしてこの質問が、私の答えを決定づけるはずだ。

「ユーリ・・・あなた、ルーカスが村から出て行った時・・・彼から手紙を受け取ったの・・・?」

 私の問いかけにユーリはクスッと笑うと、勝ち誇ったかの様な笑みを見せた。

「ええ、受け取ったわよ。首都へ行く理由と、愛を告白する様な文面が沢山綴ってあったわ・・・そして22歳までに迎えに行くから待っててって・・・12歳のくせにキザな手紙よね」

 やはりルーカスは村を出る時、大切な人であるユーリにだけ手紙を送っていた・・・。
 22歳・・・ルーカスがあの日、私に会いに来た時だ。

 覚悟していたとは言え、ここまではっきり手紙の内容を口に出されるのはショックだった。
 私には何も残してくれなかったのに・・・。

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