惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
「1ヶ月・・・?それはさすがに待てないな・・・」

 ・・・いや・・・1ヶ月は待ちなさいよ・・・?
 
 ルーカスは俯き、口を噤んだ。
 その表情はよく見えないが、膝に置いている手は強く握りしめられ、肩が小さく震えている?・・・え、なになに?
 何を考えてるの・・・?

「ならば・・・仕方ない。これだけはやりたくなかったんだが・・・」

 ルーカスは立ち上がると、私が座るソファーへやってきた。

「え・・・何?」

 長身のルーカスに上から見つめられ、私はとっさに身構えたが、ルーカスはそのままストンと私の隣に座った。
 そして、私の目をジッと見つめ、私の両肩に手を添えた。

「エリーゼ・・・」

 私の名前を呼ぶその声は少し低く、いつになく艶っぽく聞こえた。

 ま・・・まさか・・・これは・・・!!
 
 ロマンス小説愛読者としてはこの先に何が起こりうるか分かりきっている・・・!

 って・・・いやいや、駄目でしょうが!!
 このまま流されるのは駄目よ!!・・・え、駄目なの・・・?

 反射的にルーカスの唇に視線が行き、私は予想外の急展開にパニックになりながらも、心は正直で期待に胸は膨らんでいった。

「ま・・・待って・・・」

 当然ルーカスは待てが出来るはずもなく、その顔はゆっくりと私に近づいてくる。
 私は覚悟を決めてギュッと目を固く閉ざした。

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